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2025.12.18
2025.12.18
自動倉庫で実現する工場内物流の省人化・効率化|導入のメリットと選定のポイント

製造業における人手不足が深刻化する昨今、工場の生産性を維持・向上させるためには、加工・組立工程の自動化だけでなく、「工場内物流」の効率化が避けて通れない課題となっています。特に、資材や製品の保管・管理を担う「自動倉庫(AS/RS)」は、保管効率の向上はもちろん、省人化やトレーサビリティの確保において強力なソリューションとなります。
本コラムでは、製造現場の設備導入に精通した視点から、自動倉庫導入のメリット、種類ごとの特徴、そして生産ラインとの連携を見据えた最適な選定ポイントについて解説します。
なぜ今、「自動倉庫(AS/RS)」が製造現場で求められているのか

かつて自動倉庫と言えば、大規模な物流センター向けの設備というイメージが強いものでした。しかし現在では、自動車部品メーカーや精密機器工場など、製造現場のストックヤードや工程間バッファとしての導入が加速しています。その背景には3つの切実な課題があります。
1. 深刻な人手不足
物流業界だけでなく、工場内物流においてもフォークリフト運転者やピッキング作業者の不足は顕著です。重量物の運搬や高所への格納作業を自動化することで、作業者の負担を減らし、限られた人員を付加価値の高い業務へ配置転換することが求められています。
2. 保管スペースの限界と土地有効活用
工場の増設が難しい中、生産量が増えれば資材や仕掛品の置き場が不足します。通路幅を最小限にし、建屋の高さを最大限に利用できる自動倉庫は、同一面積で平置きの数倍の保管能力を発揮します。
3. 在庫管理の精度向上とトレーサビリティ
手作業による入出庫管理では、記入ミスや入力漏れ、先入れ先出しの徹底不足といったヒューマンエラーが発生しがちです。在庫管理システム(WMS)と連動した自動倉庫であれば、リアルタイムな在庫把握と正確なトレーサビリティが可能となり、品質管理レベルが向上します。
目的別・自動倉庫の種類と特徴

自社の課題にマッチしたシステムを選定するためには、扱うワークの形状や重量に適したタイプを知る必要があります。
パレット型自動倉庫(重量物向け)
パレット単位で荷物を格納するタイプです。金型、原材料、重量のある完成品などの保管に適しています。
- ビル式: 建屋そのものをラックで構成する大規模タイプ。
- ユニット式: 既存建屋内に設置するタイプ。工場の空きスペースへの後付けが可能です。
バケット・ケース型自動倉庫(軽量・小物向け)
通い箱(コンテナ)や段ボール単位で保管するタイプです。電子部品、精密機械部品、ボルト・ナット類などのピッキング効率化に威力を発揮します。
- スタッカークレーン式: 高速入出庫が可能。
- シャトル式: 各段に配置された台車(シャトル)が走行し、高密度保管と高い処理能力を両立します。
移動ラック(省スペース重視)
電動で棚を移動させ、必要な時だけ通路を開ける方式です。自動入出庫機能はありませんが、フォークリフトでの運用を前提としつつ、保管効率を劇的に向上させたい場合に有効です。
単なる「保管」ではない。生産ラインと連携するシステム構築

自動倉庫を導入する際、最も重要なのは「倉庫単体で考えない」ことです。
「商社機能」と「エンジニアリング機能」を持つ専門商社の視点では、倉庫への入出庫前後を含めたトータルな自動化をご提案します。
AGV/AMR(無人搬送車)との連携
自動倉庫の出庫口から生産ラインの各工程まで、AGV(無人搬送車)やAMR(自律走行搬送ロボット)でワークを自動搬送します。これにより、人が介在することなく「必要な時に、必要なモノが、必要な場所へ」届く仕組みを構築できます。
ロボットによるパレタイジング/デパレタイジング
入庫前の積み付け(パレタイジング)や、出庫後の荷下ろし(デパレタイジング)に産業用ロボットを導入することで、重量作業を完全自動化し、労働災害のリスクを低減します。
既存設備の老朽化対策:リプレースかレトロフィットか

「昔導入した自動倉庫が古くなり、故障が増えている」「メーカーの部品供給が停止した」といった課題を抱える工場も少なくありません。
このような場合、すべてを新品に入れ替える(リプレース)だけでなく、ラックやクレーン本体などの鉄骨構造物はそのまま活かし、制御盤やモーター、在庫管理システムのみを最新のものに更新する「レトロフィット」という選択肢があります。
工期短縮とコスト削減を実現しながら、設備の延命化を図ることが可能です。
当社の事例:自動倉庫の大規模リニューアル

メーカーより「全面入替不可避」とされた航空機部品用自動倉庫に対し、既存設備を活かす大規模リニューアルを実施。オーバーホールと部分製作を組み合わせ、倉庫機能を維持したまま新規比半分のコストで完遂しました。制御更新で延命を実現し、セカンドオピニオンとして顧客主導の適正価格化に貢献した再生事例です。
自動倉庫の導入・更新なら株式会社羽根田商会におまかせください

自動倉庫の導入には、搬送能力の計算、設置スペースの設計、そして既存システムとの連携など、多岐にわたる専門知識が必要です。また、特定のメーカー製品ありきではなく、現場の制約条件に合わせた最適な機種選定が成功の鍵を握ります。
株式会社羽根田商会は、機械工具商社としての調達力と、ロボットSIerとの協業ネットワークを有してています。
ダイフクや村田機械をはじめとする主要メーカーの自動倉庫はもちろん、AGVやロボットを組み合わせた工程間搬送の自動化、さらには老朽化した設備のレトロフィットまで、お客様の現場課題に合わせたワンストップソリューションを提供いたします。
- スペースを有効活用したい
- 重量物の運搬作業をなくしたい
- 古い自動倉庫のメンテナンスに困っている
このようなお悩みをお持ちの工場長様、生産技術ご担当者様は、ぜひ一度ご相談ください。現場確認から構想設計、導入後のサポートまで、私たちが責任を持って対応いたします。
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