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2025.08.23
2025.08.23
【窒素ガス不要でコスト削減】FUJI Tough Plasma ATOMによる高速プラズマ前処理

接着工程では接着剤による材料結合、塗装工程では保護膜・装飾膜の形成、コーティング工程では機能性皮膜の付与が行われますが、いずれの工程でも表面の清浄性と濡れ性を確保する前処理が品質を左右する重要な要素となります。従来の前処理では油分除去、酸化皮膜除去、表面粗化に多くの工程と時間を要していました。
接着・塗装・コーティング工程の前処理で、次のようなお悩みはありませんか?
- 液状ガスケット(FIPG)の密着性不良による品質問題が発生している
- アルミダイカスト表面の油分除去に時間とコストがかかっている
- 従来のブラスト処理では表面ダメージが避けられない
- 窒素プラズマ装置の設備投資とランニングコストが高額
- ウレタン塗布ノズルの固化除去作業で生産性が低下している
こうした課題を根本的に解決するのが、今回ご紹介するFUJI社の超高密度大気圧プラズマユニット「Tough Plasma ATOM」と、自動化技術を組み合わせたソリューションです。
これまでの課題
車載用ECU封止における接着性の問題
車載用ECUの封止工程では、従来のOリングや固形ガスケットから液状ガスケット(FIPG:Formed In Place Gasket)への移行が急速に進んでいます。液状ガスケットは少量塗布で高いシール効果を発揮し、複雑形状への適用が可能で製造コスト削減に寄与しますが、アルミダイカスト製ケース表面の油分や酸化皮膜が密着性を阻害する根本的な課題があります。
従来のブラスト処理では表面粗化により機械的密着を向上させますが、処理による表面ダメージや粉塵発生、処理の均一性確保が困難という問題がありました。また、窒素プラズマ処理装置では高純度窒素ガスの継続供給が必要で、設備投資とランニングコストが製造原価を圧迫していました。
生産ライン停止時の品質劣化問題
大手自動車メーカーのバックドアウレタン塗布工程では、生産ライン休憩時にウレタンがノズル内で硬化し、再開時の塗布品質不良が発生していました。この問題は数万台に1台の確率ですが、車内浸水クレームに直結するため、品質保証上の重要課題となっていました。超音波カッターによる硬化ウレタン除去は導入されていましたが、切削屑の付着によりカッター性能が劣化し、定期的な清掃作業が必要でした。
この課題を解決できるのがATOM(大気圧プラズマ装置)

FUJI社のTough Plasma ATOMは、エアプラズマ技術により従来の窒素プラズマの課題を解決する革新的なソリューションです。圧縮エアを用いた超高密度プラズマ生成により、材料表面への損傷なしに油分除去と表面活性化を同時実行。液状ガスケットの濡れ性向上とシール性能安定化を実現します。
さらに、生産工程の自動化技術と組み合わせることで、ウレタン塗布ノズルの清浄化工程も無人化。超音波カッター洗浄の自動化により、作業品質の安定化と人件費削減を両立します。
なぜATOMが課題を解決できるのか
エアプラズマ技術の物理化学的優位性
ATOMのエアプラズマは、大気中の酸素・窒素混合ガスから活性種(OH基、原子状酸素、励起窒素等)を生成します。これらの活性種が有機汚染物質を分解除去しながら、同時に表面にヒドロキシル基やアミノ基を導入し、表面エネルギーを向上させます。この二重の作用により、液状ガスケットの接触角が劇的に改善され、密着性が飛躍的に向上します。
プロセス統合による効率化
従来の脱脂→ブラスト→乾燥という多工程を、単一のプラズマ処理で置換可能。工程集約により製造リードタイム短縮と設備フットプリント削減を同時実現します。また、乾式処理のため廃液処理も不要となり、環境負荷低減にも寄与します。
自動化技術との融合
超音波カッター洗浄工程の自動化により、作業者の技量に依存しない安定した品質を確保。PLCによる制御システムで洗浄タイミングと洗浄条件を最適化し、カッター性能の長期維持を実現します。
ATOMの特徴
大幅なコスト削減を実現
窒素発生器や高純度窒素ガス供給設備が不要となり、イニシャルコストを60%以上削減。ランニングコストも圧縮エア消費のみとなるため、年間数百万円規模のコストダウンを実現します。
環境配慮型の省エネ設計
消費電力900Wの省エネ設計により、従来比70%の電力削減を達成。CO2排出量削減と電力コスト低減を同時実現し、環境経営の推進に貢献します。
設置・運用の簡素化
圧縮エア(40L/min)と200V単相電源のみで稼働可能。既存ラインへの後付け設置も容易で、設置工事期間を大幅短縮できます。
世界最速レベルの超高速処理
処理速度800mm/sを実現し、高タクト生産ラインにも対応。従来のプラズマ処理装置の3-5倍の処理速度により、生産性向上に直結します。
メンテナンスフリー運用
ノズル清掃不要、消耗品交換は年1-2回のみ。予防保全業務の工数削減により、保全要員の有効活用が可能になります。
多様な適用範囲
スポットタイプ(44mmストレートノズル)から幅広タイプ(開発中)まで、用途に応じた選択が可能。車載用ECU、インバータ、バッテリー、各種モーター、フレキシブル基板、エアコン室外機など、幅広い製品への適用実績があります。
技術仕様詳細
- プラズマヘッド寸法:89×83×300mm(重量1kg)
- 制御ボックス寸法:400×590×756mm(重量55kg)
- 操作パネル寸法:330×102×218mm(重量3kg)
- プロセスガス:エア40L/min
- 電源:AC200-240V(単相)
- 消費電力:900W
接着・前処理工程の最適化は羽根田商会にお任せください!
「液状ガスケットの密着性を向上させたい」「プラズマ処理のコストを削減したい」「生産工程を自動化して品質安定化を図りたい」など、製造現場のお困りごとがございましたら、羽根田商会までお気軽にお問い合わせください。豊富な技術知見と導入実績に基づき、お客様の課題解決に最適な提案をさせていただきます。
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